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2009 年08 月09 日

漁港施設を漁港管理者に無断で貸し付けたら詐欺に当たるか

 少し古いが8月1日日経夕刊に、大阪府が所有する駐車場を無断で貸し付けて利用者から現金をだまし取っていたとして詐欺罪で逮捕された漁協元幹部が起訴猶予処分となったとの記事が載っていた。

 事案の詳細が分からないので何とも言えないが、漁港を例に取ると、漁港施設には護岸や堤防も含まれ、都道府県が漁港管理者となる漁港がある。漁港の一部に魚市場があり、漁協が漁港漁場整備法37条の2に基づいて都道府県から貸付を受けてこれを運営している。ところで、魚市場に用のある者や釣り人は、漁港施設の空いているところに自家用車を駐車している。しかし、漁協関係者からすると、勝手に車を漁港施設に駐車されると迷惑だ。そこで、漁港施設の空いているところに駐車場の線引きをしてそこに自家用車を停めさせ、駐車料金をとることもあるだろう。しかし、漁協が都道府県から貸付を受けるのは特定漁港施設に限られるのであって、それ以外の漁港施設は貸付の対象には含まれないから、そのような貸付対象外の漁港施設を漁協が一般漁港利用者に駐車場として利用させ、駐車料金をとるのはおかしいのではないか。これが本件事案だったのではないだろうか。

 漁協やその幹部は漁港施設の管理者ではないから、これを第三者に貸し付けて料金をとるのは「許されない」。
 問題は、その「許されない」の中身だ。

 府と漁港施設利用者との関係で見ると、漁港施設を管理権限のない者から借り受けたとしても、漁港管理者である府に対して、これを正当な漁港施設の利用だと主張することはできないから、府から立ち退きを求められれば応じざるを得ない。

 府と漁協又は漁協幹部との関係で見ると、駐車場料金は府に対しては不当利得になるから、府から返還請求を受けたら返還せざるを得ない。
問題は、それがさらに刑法犯としての詐欺に該当するかだ。
 漁協幹部が、これを府の施設であって、権限のない自分が貸し駐車場とすることができないことを認識して第三者に賃貸していたのであれば、詐欺罪が成立するようにも思わないでもない。しかし、それらの認識を欠いているときは、およそ不法領得の意思がないのであるから詐欺罪は成立しない。
 しかし、仮にその認識があったとしても、果たして詐欺罪を構成するのか。賃貸借の要件としては、賃貸物件が自己所有物であることは要件ではない。したがって、第三者と漁協元幹部との間の賃貸借としては有効に成立している。第三者としても、駐車場として利用したのであるから、元幹部に支払うか府に支払うかはともかくとして駐車料金を支払う義務はある。民事の問題ではないのか。

投稿者:ゆかわat 00 :24| ビジネス | コメント(0 )

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